"胃の痛み"について

今回は、「胃の痛み」についてです。

いわゆる「胃が痛い」というのは、

医学用語では「心窩部痛(しんかぶつう)」と言います。心窩部とは、みぞおちのあたりのことです。

患者さんが「胃が痛い」と訴えていたとしても、その痛みが本当に胃からきているかどうかはわかりません。

「心窩部痛(しんかぶつう)」を引き起こす病気としては、

逆流性食道炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍のほかに

胆嚢炎、膵炎、虫垂炎などの消化器の病気、

さらには狭心症や心筋梗塞などの心臓の病気もあります。

 

その痛みはいつから起こったのか

どんな痛みなのか

どのくらい続くのか

どんな時に悪くなるのか(食事に関係があるのか、運動に関係があるのかetc...)

他に症状はないか

治療中の病気はないか

飲んでいる薬は何か

などなど。。

 

色々問診をしていくと、ある程度予測される病気が絞られてきます。

 

問診の時点でほぼ診断がつくこともありますが、

・しなければいけない(した方が良い)検査

・念のためしておきたい検査

についてきちんと説明し、納得いただいた上で検査を受けて頂いています。


 ずっと症状が続いているのに、どんな検査をしてもこれといった原因が見つからない場合に、「機能性ディスペプシア」と診断されることも少なくありません。

 

 機能性ディスペプシアは「気のせい」のようにおっしゃる方がいますが、「きのうせい」と「きのせい」は違います。

 過敏性腸症候群や機能性ディスペプシアのような「機能性」の疾患は、現在の医学では原因が"まだ"解明されていないだけです。症状があるのですから、やはりそこには病があるのです。

「胃が痛い」という患者さんが消化器内科にいらっしゃった時、胃カメラはすぐにするけれど、「胃には病気はありません」で終わり…ということはしたくありません。

 

(「胃カメラをして病気がないと分かったら不安がなくなって症状が気にならなくなった」という方も少なからずいらっしゃるので、もちろんそれは良いこと🙆‍♀️ですが…)

  

 内視鏡医・消化器内科医である前に、医師として、患者さんの訴えに寄り添うことが大切だと考えています。

初回の外来や検査で原因がわからなくても、通院頂いているうちに、ご自身に合った生活習慣や薬が見つかることもあります。

 少しでも良い方向に向かっていけるよう、患者さん自身が治っていくお手伝いができればいいなと思っています😊