胃のポリープについて

内視鏡検査の結果に

「ポリープ」

と書いてあって、なんとなく気になる…。

という方、いらっしゃいますでしょうか。

 

大腸のポリープは取るって聞くけど、

胃のポリープは取らなくていいの?

と聞かれることも、しばしばあります。

 

今回はポリープコラム第1回目として、胃のポリープについて解説します📖

 

 

 

そもそも「ポリープ」とは?

これは胃も大腸もそうなのですが、

「ポリープ」というのは、正式な病名ではありません。粘膜などの表面から「出っ張っているもの」を総じてポリープと呼んでいます。

 

ポリープの種類

ポリープには腫瘍性のものとそうでないものがあります。

腫瘍とは、体の細胞が異常に増殖するような変化をきたしたものです。

なので、放っておくと少しずつ大きくなります。

(ちなみに、腫瘍のすべてがポリープ状に出っ張っているわけではありません。)

 

腫瘍性のポリープは、さらに良性と悪性に分かれます。

良性の腫瘍は塊を保ったままゆっくりと大きくなります。

一方、悪性の腫瘍は、大きくなる速度が早かったり、周りの臓器に染み込むように入り込んだり、転移をしたりして、色々なところにバラバラと広がっていく性質を持っています。

 

良性の腫瘍で代表的なものが、「腺腫(せんしゅ)」で、大腸ポリープとして切除されているのは、腺腫が多いです。

悪性腫瘍で代表的なものが、皆さんご存知の「癌」です。

 

胃のポリープについて

胃で多く見られるのは、腫瘍ではないポリープで、代表的なものに胃底腺ポリープや過形成性ポリープがあります。

 

胃底腺ポリープは、ピロリ菌のいない胃にできるポリープとして知られています。

つるんと半球状の形で、1cm以下の小ぶりなものが多いですが、一部の胃薬を長期に飲んでいると大きくなることがあります。癌化するリスクは極めて低いとされています。

放っておいても特に心配のないポリープです。

 

過形成ポリープは、通常赤みがありイチゴの様なもようをしています。血流が豊富で、大きいものは出血の原因になることがあります。

ピロリ菌がいる胃にできるポリープとして知られており、ピロリ菌の除菌をすることで小さくなる事があります。

ポリープからの出血が貧血の原因になるほどでなければ、基本的には治療の対象にはなりません。

癌化するポテンシャルはありますが、頻度としてはごくまれなので、毎年の胃カメラで変化がないかチェックしていれば大きな心配はないでしょう。

 

(→ピロリ菌について詳しくは、

🔗ブログ「胃癌大国日本~ピロリ菌について~」をご覧ください。)

 

 

注意が必要なポリープは?

基本的には、腫瘍(特に悪性腫瘍)を疑うようなポリープは要注意、ということになります。

 

・どんどん大きくなるポリープ

経過観察中に明らかに大きくなってくるようなものは、増殖する力が大きいと考えられ、腫瘍である可能性があります。

 

・びらんがあるポリープ

びらんというのは、粘膜が削れた部分のことです。腫瘍のポリープは、大きくなる速度がはやい一方、ポリープに栄養を届ける血管が健康な血管と違うため、十分に栄養が行き届かない部分がびらんになることがあります。

 

・形が崩れているポリープ

細胞が増える速さが場所によってまちまちだと、均等に大きくならずに形が左右非対称になったり、一部だけが盛り上がったり凹んだりと崩れた形になります。

 

・血が出やすいポリープ

腫瘍に栄養を届ける血管は脆いため、出血しやすくなります。また、過形成性ポリープなどの腫瘍でないポリープでも、出血しやすい=貧血などの症状を引き起こす可能性があるため、治療が必要なことがあります。

 

・無数にあるポリープ

これは特殊な場合ですが、胃底腺ポリープが100個も200個も、あるいは胃全体を埋め尽くしてしまうほどある場合には、遺伝的にポリープができやすい体質である可能性があります。

そういった方は、胃だけでなく十二指腸、大腸に腫瘍性のポリープができやすく、特に大腸癌が発生するリスクが高いため、定期的な胃カメラと大腸カメラを受ける必要があります。

 

・平べったいポリープ

隆起するタイプの(早期)胃癌や、その前駆病変である胃腺腫(良性腫瘍)は、平べったいものが多いです。隆起と言ってもわずかな厚みがある形が多いので、"ポリープ"という表現をする内視鏡医はあまり多くないかもしれません。

胃の癌も腺腫も、ピロリ菌が感染したことのある胃にできる事が多いです。除菌をした後も、胃に腫瘍ができていないか定期的に胃カメラでチェックすることが大切です。

 

その他、見た目で診断がつかないようなポリープは、定期的に変化を観察したり、生検をして病理学的に確認をした方が安心でしょう。

 

Ω  Ω  Ω  Ω  Ω  Ω  Ω  Ω  Ω 

 

今回は胃のポリープや腫瘍についての解説でした💡

胃のポリープは腫瘍性のポリープは大腸ほど多くないので、取らずに様子を見るパターンが多いと思います。

しかし、安心なポリープであっても完全に正常な胃というわけではないので、定期的な内視鏡検査は受けるようにしましょう!

 

 

大腸ポリープや胆嚢ポリープについては、またの機会に解説いたします…👋